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事業方式自分たちで資金を調達して行う自力建替え方式というのは、区分所有者が事業の主体となって建設会社との間で請負契約を締結し、マンションの建替え事業を行う方法です。
理屈の上では、自分たちで余剰住戸の販売などを行う方法も考えられますが、実際は余剰住戸がほとんど発生しない場合に、自分たちで資金を調達して建替え事業を行う方式といえます。
いうなれば戸建て住宅を建て替えるのと同じ理屈、方法といえるでしょうか。
もちろん、建替えに必要な業務をディベロッパーや建設業者、コンサルタント等に委託して行われる場合もあります。
それぞれの事業方式のメリット、デメリットがおわかりいただけたでしょうか。
自分たちのマンションの状況にあった事業手法を選ぶことになるわけですが、どのような事業手法を選ぶかによって、その後の事業の進め方や各区分所有者の権利にも影響があるので、選択は慎重に行うべきです。
事業手法については、できれば建替えについて経験のあるコンサルタントなどに参加してもらい、マンションの特徴や区分所有者の意識なども考慮した上で、等価交換でいくのか、円滑化法を使うのかなどの大方針を検討するのがよいでしょう。
ここでひとつ注意が必要です。
管理組合の総会などで承認を得ることなく、特定のディベロッパーに建替え計画の検討を依頼したところ、一部の区分所有者から批判がでて感情的な対立に発展してしまうというケースが少なくありません。
将来の合意形成なども考えて、区分所有者全員の参加のもとで方針を決めることが望ましいと思います。
もっとも事業手法の選択は、最終的には建替え決議の前提となる実施計画案の検討段階で決めればいいことです。
全員合意のもとでの等価交換事業を前提に進みながら、反対者が想定されるようでしたら、途中から法定建替え決議を経て、マンション建替え円滑化法の組合施行方式を選択するというような場合も十分に考えられます。
先にご紹介した大田区の萩中住宅でも等価交換方式の事業化を念頭においていましたが、円滑化法の制定を受けて最終的には組合施行方式で事業化しました。
途中段階では、市街地再開発事業での事業化の可能性も検討しています。
円滑化法が制定された後でも、実績のない円滑化法によらず、等価交換事業でやるべきだとの意見がかなりありました。
選び方のポイント事業方式はいわば建替えという目的を達成するための手段です。
状況に応じて、最も適切な方法を選択することが必要です。
事業提案をする企業側は自分たちにとって事業を進めやすい手法を推薦してきます。
それにきちんと対応するためにも、しっかり方式を検討することです。
私個人としては、現段階で建替え事業を進めるなら、円滑化法の組合施行方式を原則的に考えるのがよいのではないかと思っています。
確かに、手間と時間はかかりますが、事業手続きが厳格に定められており、段階ごとに総会を開催して方針を決め、知事の認可を受け、登記上も権利が保全されるなど、区分所有者の権利がしっかりと守られている点で、優れた制度だからです。
何より、長い時間をかけて建替えについて検討を行ってきた組合と組合員である区分所有者が、建替え事業においても事業の主体として主導権を発揮するのが自然だからです。
手間やリスクを少なくするという観点では等価交換という選択肢もあるでしょう。
しかし、具体的な例を見ていると、いったんディベロッパー主体で事業が動き出すと、区分所有者は完全に「お客様」となってしまいます。
これは少しもったいないな、というのが個人的感想です。
円滑化法を用いた建替え事業では、この古いマンションから新しいマンションへの権利の移行を「権利変換」という特殊な行政手続きで行うところに特徴があります。
「権利変換」というのはあまり耳慣れない言葉ですので、簡単に説明しましょう。
建替えでは古いマンションを壊して、新しいマンションを建てるわけですが、古いマンションの建物についての権利は、マンションが壊されれば法律上消えてしまいます。
また、土地についての権利も、新しい取得者が加わることや、建物の規模が変わることで、その持ち分が変わらざるを得ません。
そのため、古いマンション上の権利を新しいマンションにどのように移行させるかというのは、法律的にはとても大きな問題です。
簡単に定義すると、「権利変換」というのは、建替え前のマンションの土地と建物に関する権利を、二疋の期日をもって新しいマンションの敷地利用権と建物の区分所有権に円滑に移行させるための法的な仕組み、ということになります。
権利変換の内容を定めた計画書には古いマンションの敷地利用権や建物の区分所有権に設定されていた抵当権なども記載されます。
この権利変換計画書が知事により認可されると、権利変換計画書に定めた内容に従って権利変動という法的な効果が発生し、古いマンション上の権利が自動的に新しいマンションの権利上に移行する、ということになります。
一定の期日に区分所有者の権利がいっせいに新しいマンションの権利に移転するわけですが、この権利移転の時点では、まだ新しい建物は存在していないので、正確にいえば、土地の権利と「将来建物ができた時に発生する区分所有権」に移転するということです。
ところで、権利変換によって新しい住戸を取得した場合、古いマンションの権利と新しいマンションの権利が同じ価値になるとは限りません。
住戸を以前より大きくしたり、あるいは小さな住戸を選ぶこともあるからです。
その場合には最終的に清算という方法によって差額を徴収したり、あるいは支払ったりして処理することになります。
「還元条件」「権利変換率」について権利変換も等価交換も、基本的には建替え前のマンションの資産価値を金銭的な価値に換算し、その額に応じて新しいマンションの権利を付与するものです。
このような権利変換や等価交換の結果得られる資産価値の内容を一般的に「還元条件」と呼んでいます。
還元条件の中でも特によく用いられるのが「権利変換率」という言葉です。
これは、建替え前と建替え後の住戸専有面積を比較して割合で表現するもので、権利床として取得できる新しい住戸の専有面積前の住戸の専有面積という算定式により算出します。
この権利変換率という指標は、建て替える場合に、今の住戸に比較してどのくらいの広さの住戸が無償で取得できるかという経済条件に関わる指標であり、一般の方にとって建替えのメリットを判断する上で最もわかりやすい判断指標のひとつだと思います。
このような還元条件は、基本的に従前資産である建替え前のマンションの敷地権と区分所有権の価額、そして新しい建物の建築コストを主な要因として決まります。
事業協力者を複数の会社から選ぶような場合には、どうしてもこの権利変換率ばかりに目が行きがちですが、見かけの数字だけを比較するのではなく、計画の内容やその実現の可能性を含めて総合的な判断をすることが大切です。
最大の課題はいうまでもなくマンションの建替えに必要な資金を調達できるかどうか、どのように調達するかという点にかかっています。
建替え事業には建設工事費をはじめ、設計費など多くの費用がかかります。
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